この記事では、祇園祭の鉾建てについて紹介します。
祇園祭の目玉である山鉾巡行の山鉾は、巡行前の数日で組み立てられます。山鉾が組み立てることを「山鉾建て」と言います。
その山鉾建てについて日程や見どころを写真付きで紹介します。
祇園祭期間に京都を訪れる方や祇園祭を感じたい方はぜひ最後までお読みください。
それぞれの山鉾建ての日程
前祭の山鉾建て
- 7月10日:長刀鉾、函谷鉾、鶏鉾、菊水鉾、月鉾
- 7月11日:放下鉾、船鉾、岩戸山
- 7月12日:保昌山、山伏山、芦刈山
- 7月13日:占出山、霰天神山、郭巨山、伯牙山、油天神山、木賊山、太子山、白楽天山、綾傘鉾、蟷螂山
- 7月14日:四条傘鉾、孟宗山
後祭の山鉾建て
- 7月18日 南観音山、大船鉾
- 7月19日 北観音山、鯉山
- 7月20日 浄妙山、黒主山、役行者山、鈴鹿山、八幡山
- 7月21日 橋弁慶山
2022年の山鉾建ての日程
7月17日の山鉾巡行(前祭)の1週間前である7月10日から山鉾建てが京都市中心部の山鉾町で始まりました。
長刀鉾や函谷鉾、鶏鉾といった山鉾は14日までに23基が立ち並ぶことになります。
17日の前祭の山鉾巡行が行われた後、さらに後祭の山鉾11基が立ち並ぶ予定です。
山鉾建ての見どころ
山鉾建ての見どころをまとめました。
縄がらみ
巨大な山鉾は、釘を使わずに木と縄だけで組み立てられていきます。これは「縄がらみ」と呼ばれており、昔々から伝わる祇園祭に見られる技法です。
素人目から見ると縄をぐるぐると木に縛り付けているだけに見えるかもしれませんが、どの部分をどの縄で固定するのか細かく決められています。
また、固定する場所だけでなく、外側から内側に縄を通すなど固定していく順番も細かく決まっています。
山鉾は祇園祭の山鉾巡行で人を載せて動くので、途中で解けてはいけないため、鉾建ての現場は緊張感が漂います。今回、鉾建ての現場を何箇所か見て周りましたが、場所に寄っては怒号が飛んでいるところもありました。
縄がらみは、2〜3人1組で一つひとつ丁寧に確認しながら慎重に行われます。
縄を二重に絡めながらバネのような形に仕上げることで、衝撃を吸収して解けなくする工夫を施します。
真木(しんぎ)の立ち上げ
鉾建ての1番の目玉といえば、鉾の中心に高く聳える(そびえる)真木の取り付け「真木の立ち上げ」です。
長さが約20メートルある真木はそのまま取り付けられないため、一旦鉾の横に倒した状態で取り付けられ、地中に差し込まれて固定された杭と回転軸になる丸太、さらに鉾の3つが縄で結ばれた状態にします。
それらは水で濡らし滑りを良くした後、太い縄で数10人で引っ張って倒すと鉾に真木が差し込まれた状態となります。
真木の先には、それぞれの鉾のシンボルである鉾頭が取り付けられます。いざ、真木が立ち上がると頭上高くに鉾頭が離れてしまいますが、真木が横たわっている状態であれば間近で見ることもできますよ♪
車輪の取り付け
鉾を支え、山鉾巡行の際の要(かなめ)となる車輪の重量は約1トンあります。
鉾はかなり重く、長刀鉾は人が載っていない状態で、約7トンあると言われており、車輪が4つで4トンなので鉾の半分以上の重量を車輪が占めているといえます。
車輪はテコの原理を用いて数十人の大人が鉾を持ち上げてはめられます。一つひとつの車輪がとても大きいので4〜5人体制で鉾まで転がして運びます。
この車輪がなければ、山鉾巡行の「辻回し」も行うことができません。
鉾建ての期間
鉾が完成形となるのは、鉾建てが始まってから2〜3日です。実際に鉾の大きさを見ると「え、そんな短期間で?」となるでしょうが、鉾を建てる方々の正確で素早い動きがなせる技です。
鉾建ては山鉾によって大通りに面した通りで行われることもあり、かなり間近で建てられている様子を見ることができるので、鉾建ての期間に京都を訪れる方はぜひ、見学してみてください。