この記事では、八坂神社について歴史や見どころ、拝観料、駐車場情報など観光で訪れた際に役立つ情報をまとめています。
「八坂神社について知りたい」
「八坂神社の見どころって?」
という方におすすめです。ご参考になさってください。
八坂神社の概要
京都の中心地から東西に伸びる四条通の東の端にある八坂神社は全国にある八坂神社や須佐之男命(スサノオノミコト)を祀る神社の総本社。花街として有名な祇園のすぐそばにあり、四条大橋~八坂神社まで多くのお土産屋さんや飲食店が並んでいる日中も夜も賑やかな場所にあります。
八坂神社が建てられたことについて所説ありますが、明確な史実は定まっていません。一説には、655年(斉明天皇2年)に高麗から来た伊利之(いりし)により、新羅国牛頭山(韓国)の素戔嗚命(スサノオノミコト)の魂を山城国愛宕郡八坂郷(東山区)に祀ったのにはじまるといわれています。
または、876年(貞観18)に南都(奈良)の興福寺の僧円如が東山のふもとにお寺を建てたところ、人々を救うため牛頭天王が姿を変えてこの世に現れたのが始まりだともいわれています。
平安時代初期の9世紀に自然災害や疫病が何度も発生したことにより、人々は疲弊していましたが八坂神社に勅使(天皇の使い)を派遣して祈願したところ疫病の流行がおさまったと伝わっており、この出来事から疫病除の神様としてあがめられ発展していくことになりました。
八坂神社は数々の天皇が行幸(訪問)された場所として記録に残っており、そのほかにも平清盛や源頼朝、足利家といった武家からも信仰されていました。1467年から1477年に起こった応仁の乱によって八坂神社は荒れ果てることになりましたが、豊臣秀吉や徳川家により再興されました。
八坂神社の朱色の楼門は1497年(明応6年)に再建したもの。メディアで取り上げられたり、SNSで投稿されるので、この楼門が八坂神社の正門と思われる方も多いと思いますが、こちらは西門。正門は八坂神社の鳥居と共に南側にあります。
元々は祇園神社、祇園社、祇園感神院などいくつもの呼称がありましたが、明治の神仏分離令の頃の1868年(慶応4年)に現在の名前八坂神社に改称されました。現在は花街として有名な祇園という地名も、八坂神社の門前街として栄えたことに由来します。地元の方は親しみを込めて「祇園さん」と呼ばれており、パワースポットをしても知られています。
初詣の頃になると毎年多くの参拝者が訪れますが、その数は伏見稲荷大社の次に多く、本殿付近は人々の熱気がすごく、とても賑わいますよ。
多くの神社やお寺が18時までには閉門してしまい、夜間は特別な期間以外は拝観できませんが、八坂神社は24時間拝観可能。夜中は舞殿の提灯が点灯され、日中とはまた違う雰囲気を味わえます。
八坂神社の見どころ
八坂神社の見どころの一部をまとめました。訪れる際のご参考になさってください。
本殿
高さ15メートル、広さ400坪にも及ぶ大きな桧の皮を重ねた大きな屋根が特徴的な祇園造りと呼ばれる建築様式。その大きな屋根で本殿と拝殿を覆う建築様式は他に類を見ません。現在の本殿は1654年(承応3年)に四代目将軍徳川家綱によって再建されたもので国の重要文化財に指定されています。令和元年に八坂神社本殿が国宝に指定されました。
建物の下には京都市内に大きく広がる池があるとされています。昔々からエネルギーが集まる龍穴として青龍が棲み、京都を守っているという伝説があります。八坂神社は、パワースポットの中でも特に力強い場所として知られています。
龍吼(りゅうぼえ)
本殿に向かって右の柱の下に鮮やかな龍が木彫りで装飾されていますが、柱の下から西を向いて手をたたくとこの場所だけ大きく反響して音が聞こえるとも。その理由は龍の木彫り(龍吼、りゅうぼえ)が拍手に応えて鳴いているからだといわれています。
美御前社・美容水
美御前社は、美容の神として信仰されている京都の末社です。美容を司る3柱の女神様、多岐理毘売命、多岐津比売命、市杵島比売命がご祭神として祀られています。この3柱の女神は、素戔嗚尊の剣から産まれ、容姿端麗であったと伝えられています。
美御前社の特徴は、社殿前から湧き出るご神水「美容水」です。この水を肌に数滴つけると、身も心も綺麗になるという言い伝えがあり、多くの人々が訪れています。
また、美御前社の末社である厳島社には、3柱の女神の中でもとりわけ美しいと伝えられる市杵島比売命が祀られています。市杵島比売命は、美容祈願に加え、舞踊や謡曲の神としても信仰されており、古くから祇園の舞妓や芸妓たちにも崇拝されてきました。
美御前社は、美容の神として知られるだけでなく、古くから京都の文化や風習に深く関わってきた神社でもあります。美容にご利益があるだけでなく、芸能や文化にも縁起が良いとされる美御前社、ぜひ訪れてみてください。
大国主社
大国主社は、八坂神社の末社の一つで、神話「因幡の白兎」で知られる大国主神が祀られています。大国主神は、素戔嗚尊の六世にあたる孫神であり、縁結びの神として広く信仰されています。
「因幡の白兎」の物語では、大国主神が意地悪な神々にだまされていた白兎を助け、その優しさに惹かれて美しい八上姫と結ばれました。この物語は、愛や優しさの力が偉大であることを教えてくれるものであり、多くの人々が感動し、信仰するようになりました。
大国主社には、鳥居の横に「因幡の白兎」をモチーフにした、大国主神と白兎の石像が置かれています。また、縁結びの神として信仰される大国主神は、多くの人々の願いを叶えてくれるとされています。大切な人との結婚や恋愛成就を願う人々が、多くの訪れる場所となっています。
大国主社は、京都のパワースポットのひとつとしても知られており、神秘的な雰囲気が漂います。多くの人々が、心身ともにリフレッシュするために訪れています。大国主神が祀られた大国主社で、自分の願いを祈願し、新たな力を得てみませんか?
悪王子社
日本の神話において、神様には「和魂(にぎみたま)」と「荒魂(あらみたま)」という二つの魂が存在していると考えられています。和魂は穏やかで優しい魂であり、荒魂は力強く猛々しい魂です。八坂神社の悪王子社には、神話に登場する素戔嗚尊の荒魂が祀られています。
「悪」を意味する「あく」は、「強い力」を表しています。悪王子社では、素戔嗚尊の荒魂が祀られており、その強い力を得ることができるとされています。また、この社は、厄除けや災難除けのご利益があり、多くの人々が訪れています。
大神宮社
八坂神社には、伊勢神宮内宮の神様である天照大御神と、伊勢神宮外宮の神様である豊受大御神を祀る大神宮社があります。この社は、身体健康にご利益があると言われており、多くの人々が訪れています。
天照大御神は、日本の神話において最高位に位置する神様であり、太陽神として信仰されています。一方、豊受大御神は、農業の神様であり、豊穣や子宝にご利益があるとされています。
大神宮社には、天照大御神と豊受大御神を祀った本殿があり、美しい建物と神聖な雰囲気が漂います。多くの人々が、健康や家族の安全を祈願して訪れ、そのご利益を受けるために、手を合わせています。
御神水(力水)
御神水は八坂神社の境内にある大神宮社の前から湧き出ています。こちらの御神水は八坂神社の本殿から湧き出している水と言われており、地元の方々からは「力水」と呼ばれており、気の力を授かることができると親しまれています。飲料水ではないと注意書きがされています。もし、飲まれる場合は自己責任でお願いします。
疫神社
八坂神社には「疫神社(えきじんじゃ)」という末社があります。この疫神社のご祭神は、旅をしていた素戔嗚尊を貧しいながらも手厚くもてなして助けた蘇民将来命です。蘇民将来命は素戔嗚尊を救ったお礼に、「蘇民将来の子孫は災厄から免れさせる」という約束を受けました。それ以来、疫神社は災厄退散、病気平癒のご利益がある神社として信仰を集めています。
「祇園祭」の最終日7月31日には、「疫神社夏越祭」と呼ばれる祭りが行われます。この祭りでは、鳥居に大きな茅の輪が設置され、「茅輪くぐり」と呼ばれる神事が行われます。参拝者は、茅輪をくぐり抜けながら、無病息災を祈願します。また、授与所では茅輪守や粟餅の授与も行われ、祭りに参加する人々の健康や幸福を願う祈願が込められています。
祇園祭
八坂神社の「祇園祭」は、京都を代表する夏の祭典で、全国的にも有名です。祭りは、平安時代に日本各地で疫病が流行した際に、神泉苑に66本の矛を立て、神輿を送ったことが始まりとされています。現在でも、7月1日から始まり、7月31日の「疫神社夏越祭」で幕を閉じるまで、1カ月にわたって各種の神事・行事が繰り広げられます。
祭りのハイライトは、「山鉾巡行」と「神輿渡御」です。前祭(さきまつり)は7月17日に、後祭(あとまつり)は7月24日に開催され、四条烏丸から山鉾が出発します。山や鉾には、美しい刺しゅうや舶来の織物など、懸装品と呼ばれる華麗な装飾品が飾られています。動く美術館とも言われる「山鉾行事」は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
祭りの名物としては、「コンチキチンの祇園囃子」が挙げられます。この囃子が響く中、山や鉾が市街地を行進し、神輿が各町内を渡御します。また、7月31日の「疫神社夏越祭」では、鳥居に大きな茅の輪が設置され、無病息災を祈願する「茅輪くぐり」が行われます。授与所では、茅輪守や粟餅の授与も行われます。
祇園祭の期間中は八坂神社で長刀鉾稚児社参や、神輿渡御出発式など行事が行われます。
八坂神社のご利益
八坂神社の境内にはいくつもの神社が存在するので様々なご利益を授かることができます。一部を紹介します。
- 縁結び:大国主社
- 心願成就:悪王子神社
- 災難除け:日吉社
- 縁切り:刃物神社
- 薬・自然の力・武運:五社
- 商売繁盛:祇園えびす社(北向蛭子社)
写真撮影の注意事項
八坂神社の本殿内陣は撮影することができませんのでご注意ください。
八坂神社の混雑具合
八坂神社は京都市内中心部にあるもっとも有名な観光スポット。
祇園のメインストリートの四条通が近くにあることもあり、平日でも多くの方が参拝されます。ただし、境内は狭くないので混雑していてもそこまで気になることはないといえます。また、八坂神社は24時間参拝することができるので、混雑が苦手な方は早朝や夜間に参拝することをおすすめします。
なお、境内は24時間開放されていますが、社務所は夕方までしか開いていません。おみくじやお守りなど求めている場合は、日中参拝する必要があります。
八坂神社の御朱印
八坂神社の御朱印は手書きと書置きの2パターンあります。
手書きは500円、書置きは300円となっています。書置きの御朱印は10種類以上あります。
八坂神社のアクセス情報
八坂神社がある祇園は京都の中心部として交通の便は非常によく、最寄り駅からは徒歩8分、最寄りのバス停は八坂神社から100mも離れない場所に停まります。
・阪急電鉄四条河原町 から徒歩13分
・最寄りのバス停 JR京都駅から祇園バス停から徒歩すぐ
駐車場情報
八坂神社には専用の駐車場がありませんが、北側に京都市が運営する駐車場「京都市円山駐車場」があり、八坂神社まで徒歩すぐとなるのでおすすめです。八坂神社周辺には民間のコインパーキングがいくつもありますが、観光エリアになるのでどれも利用料金は高くなります。
交通量の多い京都市内の観光は電車やバスを使うことをおススメします。
八坂神社の基本情報
- 名前:八坂神社(やさかじんじゃ)
- 住所:京都府京都市東山区祇園町北側625
- 電話番号:075-561-6155
- 拝観料:無料
- 所要時間:30分
- 創建:656年(斉明天皇2年)
- 主祭神:素戔嗚尊、櫛稲田姫命、八柱御子神